動画編集の際に最低限注意すべきこと

なぜ突然こんな記事を書こうと思ったかというと、つい最近こんな事件が。
とあるダンスの演者さんからのLINEがこちら

LINE Capture

て、iPhoneの容量大きくてよかったじゃんなんてことを言ったのですが、そういう問題ではないらしい。

DL 8GB

重すぎてモバイル回線でダウンロードできなさそう?
というか、立ち位置や振りの復習用動画30分程度で8GBってどういうこと?4Kなの??

とりあえずうちには高速の回線も大容量のストレージも編集環境も揃っているので、とにかく映像なりダウンロード情報なりを持ってきてくださいということで作業を開始。

iPhoneで撮っていたと聞いたこともあり取り急ぎスマホで確認できるぐらいの1280x720px (HD)サイズに書き出したわけですが、これが何かがおかしい。
色が薄い??色情報が変???

とここで思い出したのは、この会社ではお客様に配布している(無償ではない)DVDがあって、先日1枚いただいたのですがそういえば色おかしかったなと。

ということで、素材データをここで初めて確認するとこれ(めんどくさくてVLCで確認したやつ)

動画フォーマット情報

動画を少しでもかじったことがあるかたであれば、たくさんのツッコミどころ、おわかりいただけるでしょうか。
ダンスの動画で4K 24p?でもって、BT.2020HLG?さらには、h265??と、、このあたりは後ほどどうすべきか解説します。

撮影編はさておき、すでに撮影されてしまったものはその先の工程を速やかに教える必要があるだろうということで、今こうして編集についての記事を書いていたりします。

直接言えばという内容ではあるものの、その会社の社員さんに「一言で教えられる内容じゃないからコンサルさせろ」と言ったら苦笑いされてしまったので、こんな周りくどい手法となっております。
まぁ決裁権がない現場の社員さんに言った自分が悪いのですが、ちょっと対応がサラリーマンすぎやしないか…
ぶっちゃけその会社がそのままでも困らないのですが、演者さんの中に自分に近しい人がいるため演者さんたちが可哀想だなというのと、こういうブログをやっているということもありついでに誰かの役に立てば良いなと。

最終成果物となる動画の目的を考えて正しいフォーマットで書き出そう

これにつきます。

まずは今回の要件を整理しておきます。
撮影した動画はこんな感じ

解像度
4K (大きさ、ドット数)
フレームレート
24fps (1秒あたりのコマ数)
ファイルフォーマット
h265 (高効率フォーマット)

撮影データで言うと24fpsというところが一番のツッコミどころで、パラパラと映画のように見える映像には良いのですが、ダンスのような動きの激しいシーンでは最低でも30できれば60fpsがおすすめです。
ただし4K 60pに対応した機材はまだ少なく、熱を持ったり短時間しか録画できなかったりするため、1080 60pにするか4K 30pにするかというのが現実的な落としどころになると思います。

この動画の用途として、同じソースから演者さん用の復習用映像とお客様用のDVD映像を作成します。
想定環境等の要件をざっくり整理します。(本来もっと細かくやるべきですが、とりあえずざっくり)

まずは演者さんの復習用映像

再生環境
さまざまなスマートフォンやタブレット(おそらくPCは少ない)
見たい画角
引きの映像で全体を確認したい

続いてDVD

再生環境
DVDプレーヤーだが、今時持っている人は少ないのでは…(今回そこまでは考えません)
見せたい画角
映像の進行によって見飽きない画角の変更が必要

この要件に対し、具体的にどこにどう気を付けてアウトプットを作るのかという例を紹介していきます。

解像度を確認する

今回の配布用動画であれば、まず4Kというのはあり得ません。
演者さんたちはスマホでダウンロードするでしょうし、容量や視聴環境、目的を考えると大きくてもFHD程度、HD画質もあれば十分です。

DVDに関してもそうです。
DVDのフォーマットは規格自体が非常に古く、720×480pxが一般的な映像サイズです。

今回の記事のテーマである「最低限」というところからは外れますが、DVDの場合は先ほど書いたとおり見飽きない画角の変更を考慮しておく必要があるため、ソース映像として4Kを使うというのは賛成です。
ここが見どころ!というような見せたい場面で、デジタルズームを使い楽しめる絵作りを目指します。
4K映像であれば、DVD画質と比べると4倍以上の解像度であり、ある程度拡大しても映像が荒れることがありません。(注:編集の仕方を間違えると酷いことになります)

あとさらに話がずれますが、音のリズムに合わせて画角を切り替えたりと、下手に見えない編集のポイントみたいなのもあります。
このあたりはいろいろなYouTuberのかたが紹介されていますので、別途調べてみると上達の手助けになると思います。

色空間情報を確認する

今回一番気になったのがこちら。
BT2020 HLGというフォーマット、入っている色情報は多いのですがそのまま再生できる環境がほとんどありません。
iPhoneやMacというApple製品は非常に優秀なので、このあたりを特に意識することなく正しい色味で再生することができるようになっています。
が、これがまた問題で、編集者が色空間情報を意識しないという今回のような現象につながるのです。

当然DVDのような古い規格ではBT2020にもHLGにも対応していません。
Blu-rayですら、次世代企画と言われる4K Ultra Blu-rayでようやく対応しているぐらいのフォーマットです。
なので、このまま何も意識せずDVDに書き出すと、色の薄い映像の出来上がり!となるわけです。

ではどうすれば良いのか。
編集ソフトには色空間情報の変換機能があります。

同じ色空間の動画だけを使うのであればプロジェクト設定を変えてしまうのもありですが、DVDのように別のCG素材と混ぜて使うような場合はソースとなる動画ごとに変換してあげる必要があります。
より多くのデバイスがサポートしているRec.709のGamma2.4に変換します。
Rec.709とかBT.709とかITU-709とかは色に関してはどれも同じように使われます。(ので入力ソース側もBT.2020というラベルではなくRec.2020です)

このスクリーンショットはDavinci Resolveの例ですが、Premiere Pro等の編集ソフトでも同様の機能があります。
検索すると出てくるはずなので、探してみてください。

カラースペース変換

スクショでは出力ガンマをリニアにしちゃってますが、一般的な液晶モニタ向けと考えるとGamma2.4あたりが一般的かと思います
また、細かいですが他の色調整をする場合は、カラースペース変換の前にノードを追加して調整すると破綻しにくいです

今回はダンスの動画ですが、シネマティックな動画にしたいということであれば、ここをベースにして色を作っていきます。
色空間のことについて書き始めるとかなり長くなってしまうので割愛しますが、とにかく視聴環境に合わせるということが大事です。

フレームレートの補正(iPhoneでの撮影は特に注意)

と、偉そうに書いていますが、これは自分自身もiPhoneを撮影機材に組み込んだ当初ハマったことがあります。
iPhoneの標準カメラアプリが書き出す動画の場合、例えば30fpsということになっていても完全に30fpsではありません。
どういうことかというと、容量を小さくするためにフレームレートを可変で記録しています。

他のカメラと組み合わせて使用する場合など特にですが、iPhone動画だけ微妙な時間のズレが発生することになります。
単体で使う場合は必須ではないものの、iPhone動画は一度固定フレームレートに変換した上で使用することをお勧めします。

書き出しのフォーマット

今回配布された動画は、.movのh265でした。
h265は高効率フォーマットでファイルサイズこそ小さくなるものの、古めのスマートフォンでは再生できなかったりします。
閲覧者の視聴環境を考えると、現段階ではmp4でh264というのが無難かと思われます。

DVDへの書き出しは書き出し時にオーサリングソフトによって最適な形式に変換されるため、特に意識する必要はありません。

このあたりの内容は、出張して撮影現場や編集環境を拝見した上で、最適な機材や編集のアドバイスだったり現場担当者さんの教育みたいなところを普段は有償で請けています。

今回のケースにおいては、某社の担当さんでしたらサポートしますのでいつでもご連絡ください。(読み物のキャラクターとしてちょっと強めな書き方しました。スミマセン)
あと、変換前後の比較とか著作権の問題でここには載せられませんが、関係者のかたには個別に見せられるのでご遠慮なくお声がけください